真美への郷愁
今回の文芸展のテーマは『真美への郷愁』です。
この言葉を聞いて、皆様はどんなことをイメージされるでしょうか。
また、皆様でしたら、どんな言葉を紡ぎたくなるでしょうか?
このテーマから、「ほんとうに美しいものを懐かしく想い、詩作をした」そんなイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
実は、まったく違います。
どう違うかは、三思文学MUSEUMをご覧いただき、確かめていただければと思います。
異空間へ誘う詩の世界
「旅は人を詩人にする」と言ったり言わなかったり。
旅行を通し非日常を味わうことで、いつも以上に物事への感じ方、一つ一つへの味わい方は、変わるように感じます。
では、旅をしないと、私たちはその感覚を味わえないのか、というとそうではないと思います。
旅をしなくても異空間へ行く方法がある。
それが文学に代表される「詩」であり小説などの「物語」なのではないでしょうか。
たった一篇の詩を読んだだけで、あの頃の自分にふと戻ることがあります。苦くて甘い恋の記憶。夕暮れの風にまぎれた、懐かしい夏の匂い。
またある時は、まだ行ったことのない場所なのに、なぜか胸がぎゅっと締めつけられるような、懐かしさに包まれることも。
詩に触れるだけで、忘れていた感情や風景が静かに立ち上がり、私たちを異空間へと誘ってくれます。
物語もまた然り。
映画や小説、アニメに心が揺さぶられるとき、私たちはあたかもその世界を「本当に体験している」かのような感覚になります。
ハラハラしたり、涙が出たり、息をのんだり。それは、私たちの身体がその物語を“リアル”と錯覚し、感情や感覚のすべてを使って擬似体験しているから。
けれど同時に、どこかでわかっているのです。これは「現実ではない」ということを。
この無意識の認識が、読み手と物語の間に生まれる「美的距離」。この距離があるからこそ、私たちは現実なら直視できないような出来事にも、安心して向き合うことができるのです。

人生を豊かにするもの
私たちが、現実に体験できることは限られています。
だけど ──
詩に触れることで、私たちは想像を超える世界を旅し、自分では出会えなかった感情や視点に、ふいに出会うことができます。
そしてその体験は、ただの空想では終わりません。いつしか静かに、私たちの言葉や選択、生き方そのものに反映されていくのです。
それは、「役に立つかどうか」「得か損か」で測れるものではありません。誰かと比べたり、成果で評価されるものでもない。
もっとずっと奥深くて、静かで、でも確かに、自分の人生に影響を与えてくれる。そんな「本当の豊かさ」が、詩や物語の中にはあるのです。
この【三思文学MUSEUM】への旅がどのような世界へと誘うのか・・・。
オンラインMUSEUMには、『真美への郷愁』をテーマに全37作品が掲載されています。
ここで感じた「なにか」を大切にしていただければと思います。
それでは、以下の画像をクリックしてご覧ください。